新しいファッションの楽しみ方を提案している大阪・アメリカ村の古着店「古着屋十四才」が、服好きの間で注目を集めている。普通のファッションでは満足できなくなったおしゃれ上級者たちが、年齢を問わず全国各地から足を運んでいる。
(友森克樹)
15年9月、複数の古着店が入居する雑居ビルでオープンした。店主の塩見大地さんは、中学生の頃からアメ村に足しげく通い、「ビンテージ古着で全身を固めながら成長してきた」。しかし、「ビンテージはみんなが良いと言いはじめ、価格が上がり、価値も定まってきて面白みが薄れていった。みんな一緒はつまらないし、何か新しい店を自身でやってみようと思った」。その結果、勤めていたスーパーマーケットを退職し、同店を1人で立ち上げた。
店のコンセプトとして大事にしているのが、「驚きと日常性」だ。約15平方メートルの小さな店には、1000点ほどの古着を所狭しと並べている。「すっきり陳列した方が見やすいし、売れるかもしれないが、店に来てディグる(掘り出す)楽しさを味わってほしい」からだ。
商品はTシャツ(中心価格は3980~5980円)がメインで、日本のタレントのグラフィックや企業ロゴ、キャラクターなどがプリントされたパンチの利いたものばかり。Tシャツ以外では、プロ野球・サッカーチームのキャップやGMS(総合小売業)で販売しているようなスポーツジャージーなどを販売している。
とても一般人がおしゃれ着として身に着けようとは思わないであろう服ばかりだが、ファッション高感度層はコーディネートのハズシとして取り入れているという。
全国的な知名度の向上につながっているのが、東京・渋谷の服と音楽の店「ボーイ・ファッション&ミュージック」と共同で不定期に出店する期間限定店「転校生」だ。16年8月からスタートし、東京のカフェバーや大阪のギャラリースペースでの開催を経て、10月には「ユナイテッドアローズ原宿本店」での開催に至った。7日間の開催中、天候に恵まれなかったものの、「転校生は4度目の開催。常連客が足を運んでくれて、すごく盛り上がった」という。
今後は「東京、大阪以外の地域でも、転校生を全国ツアーのような形で開催していきたい」という一方で、「大阪のコアなファッション好きに認められたい」と話す。「古着好きとして、ファッション業界に一石を投じたい」と意気込む。