ショッピングモールが存亡の危機に晒(さら)されているのは周知の事実である。この流れを変え、持続可能な経営を実現するにはどうすればいいのか?最近行われたアンケート調査は、購買行動の根本的な変化を示しただけでなく、新たな提案をした。
データ企業Valassisはリサーチ結果を発表し、インドアショッピングモール体験に関する消費者のペインポイントや嗜好(しこう)を明らかにした。モールをよく利用するアメリカ人消費者1000人を対象にリサーチを行い、モールが苦戦している理由を探った。
まず、ほとんどの買い物をショッピングモールで済ませていた人たちの状況が変わった。これらの人々のうち半数が、ほとんどの買い物をオンラインで済ませると答えた。
ではなぜ今でもショッピングモールへ行くのか?
調査対象者の60%はファッション関連のショッピングのためだと答えた。彼らはオンラインよりもモールで服を買うことが多い。39%は1ヶ所に複数のアパレルショップがあるところが良いと回答した。その場でいくつかの買い物を済ませることができるからだ。もちろん試着や製品の比較が簡単な点もショッピングモールの強みである。
このリサーチ結果は、製品カテゴリーを問わず、モールでのショッピングはソーシャルな面で強みを持つことを示した。家族や友達と出かけられる(24%)、ギフトの購入に便利(20%)、食事やエンターテインメントを含め1日中遊べる(19%)、複数のショップで製品と価格を比較できる(18%)などが理由に挙げられた。
小売業界にディスラプション(崩壊)がもたらされているのは明らかですが、実店舗がなくなることはないでしょう。しかし、ショッピングモールは進化して現代の消費者のニーズに応えなければなりません。利便性、製品の幅広いオプション、インセンティブを消費者は求めています。全ての実店舗、特にショッピングモールは、足を運ぶ価値があると思ってもらうために、体験を提供し、オーディエンスを理解する必要があります
とValassisのチーフマーケティングオフィサーCurtis Tingleは述べる。
ショッピングモールへ足を運ぶよう何が消費者の背中を押すのか?何が消費者をショッピングモールへ寄せ付けなくするのか?なぜ多くがオンラインショッピングの方を好むのか?Valassisのリサーチは、この問いに答えている。
オンラインで買い物をする理由には、製品の幅広いオプション(40%)、人混みや駐車の煩わしさを避けられる(38%)、出かけないで済む(24%)、衝動買いを減らせる(16%)などが挙げられた。
では、どうすれば消費者がショッピングモールへ来るようになるのか?
より多くのお買い得品や割引(59%)、バレットパーキングのようなサービス(20%)、ポップアップショップや無料プレゼントといった興味をひかれるようなイベント(18%)、食料雑貨品のショッピングオプション(17%)などが挙げられた。また、待ち時間の短縮やショップでのサービススタッフへのアプローチのしやすさを求めるという回答もあった。
実際、これらが消費者の望む利便性のカギを握る。25%が利便性とは少ない待ち時間と簡単な支払いであると答えた。18%がショップでのヘルプ、13%がオンラインで購入したアイテムを実店舗で返品できること、11%がオンラインで購入したアイテムを実店舗で受け取れること、11%がアプリでクーポンを使って払えることだと回答した。
また、多くの消費者にとって利便性はテクノロジーの活用を意味する。これは明らかに良い機会である。消費者が日常でテクノロジーを利用する時間はますます長くなっている。調査対象者の24%はセルフレジを利用したことがあり、20%はアプリを使ったデジタルウォレットやデジタルペイメントをショップで利用したことがあり、7%はデジタルアシスタントや音声アシスタント、拡張現実や仮想現実テクノロジーを利用したことがあると答えた。
しかし、51%が未だに革新的なテクノロジーを体験していないと回答していることから、画期的なテクノロジー体験が「リテーラーにとって好奇心豊かな新しいオーディエンスを開拓するための大きな機会となる」とValassisは強調している。
小売の未来についてもっと知るにはWGSNInsightリポート「リテール優先事項 2018」を今すぐチェック。
この記事を気に入りましたか? WGSNは毎月インサイトリポートを提供しています。インスピレーション満載のWGSNの購読登録について是非お問い合せください。 wgsn@ifs.co.jp