新潟のクリエイター集団 〝日常を楽しむ〟商品開発

2018/08/22 06:27 更新


 ヒッコリースリートラベラーズは、「日常を楽しもう」をコンセプトに様々なモノやコトを作り出すクリエイター集団。01年、新潟市で活動を開始した。様々なデザインワークやショップの運営を行うほか、近年は地域資源を生かした商品の開発にも力を入れている。今春、新たなオリジナルアイテムとして地元の伝統織物、亀田縞を使ったパンツ「亀とうさぎ」の販売をスタートした。

 亀田縞は約300年前に新潟市亀田地区で生まれた綿織物で、元々は野良着に使われていた。独自の縞模様は全国に広がり、大正時代には600以上の業者が生産していたが、戦争により製造業者が次々に廃業、生産が止まっていたという。時は経ち02年、新潟県内の二つの老舗の機織工場が生産を再開。1884(明治17)年創業の立川織物と1923(大正12)年創業の中営機業が亀田縞を復活した。

 亀とうさぎは、その2社が作る亀田縞を使用する。昔ながらの織機と職人の手によって作り出される美しい縞模様と、洗うほどにしなやかさを増す素朴な風合いが特徴だ。丈夫で軽く、薄くて風通しが良いため、日常はもちろん、旅行やアウトドアで着用することを意識して、シンプルではきやすいデザインにした。

地元の伝統織物である亀田縞を使ったパンツ「亀とうさぎ」。美しい縞模様としなやかな風合いが特徴

 短パン(税込み9504円)はグレー×ネイビー、ネイビー×イエローの2色、フルレングスのパンツ(S、Mの2サイズ、ともに1万4040円)はグレー、ブラック、ネイビーストライプなど8色を揃える。直営店や直営オンラインストアのほか、各地のフェアで販売する。

 ヒッコリースリートラベラーズの物作りの原点は、「自分たちが作った物を見てほしい」という思い。創業時、シルクスクリーンのTシャツから作り始め、デザインワークやイラスト、グッズ制作、空間デザイン、ショップ運営など、業容を広げてきた。多様なデザイン活動が評価され、12年に新潟県知事賞最優秀賞、15年にはグッドデザイン賞を受賞している。

 懐かしい雰囲気が漂う上古町商店街に構える作業場には店舗を併設し、日常が楽しくなるような雑貨やオリジナル商品、地元の土産物を扱う。来店客の半分は県外からの客だ。新潟市美術館のミュージアムショップ「ルルル」も運営し、ロゴマーク入りのオリジナルアイテムも手掛ける。

 商品開発では地元企業との協業が多い。老舗の製菓メーカー、明治屋と一緒に作った「浮き星」は、地元民に「ゆか里」の名称で愛されてきた伝統菓子の販売が低迷していたところ、パッケージと名称をリニューアルしたことで販売個数が飛躍的に拡大した。今後も「デザインの力で光が当たっていない物に光を当てていきたい」(迫一成代表)という。

事務所に併設する直営店では、オリジナル商品や雑貨、地元の土産物を販売する


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