「ハルメク通販サイト」は、シニア女性向けに出版、通販、店舗運営を手掛けるハルメクの自社ECだ。同サイトの年間売り上げ高は約40億円で、コロナ禍以前の18年ごろと比べ、4倍に伸長。雑誌・カタログも伸び、実店舗も増える中で、EC比率も当初の2倍の20%となった。なかでもファッション商品のシェアは売り上げ構成の4割(肌着を除く)と高く、主力アイテムとなっている。
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新聞広告からの流入
飛躍の要因の一つとなったのが、20年のリニューアルだ。かねてよりカタログ利用者の利便性を考えた設計ではあったが、新サイトでは「カタログ以外からの流入も取っていきたい」(冨谷直輝物販ビジネスユニット・チャネル統括部デジタルメディア課課長)との考えを反映した。
その代表例が、フロントページの検索窓の下に並ぶ「テレビ/新聞紹介商品」のバナーだ。新聞はシニア世代にとって重要なタッチポイント。広告を見てサイトに来た消費者がすぐに商品を探せるよう、バナーの遷移先には広告ビジュアルをそのまま掲載。クリックすると商品詳細ページが開く。また、無料カタログやメルマガ登録用バナーも目立つ位置に配置した。新規客を一歩引き込みつつ、相互送客を促す工夫となっている。

使いやすさにもこだわった。特にファッションアイテムは品番の多さから在庫の有無が分かりにくかったため、プルダウンによる確認形式から、◎△×などの記号による一覧表形式に変えた。
団塊ジュニア獲得へ
70代中心の店舗、70~80代が多いカタログと比べ、EC利用者は60代メインと若い。「ネット慣れした団塊ジュニアが50代に入るため、より利用者は増える」と予測し、SNS運用も強化する。カタログにはSNSフォローキャンペーンを告知。コスメなどでインフルエンサー施策を実施し、インスタライブも始めている。スマートフォン経由の売り上げも全体の7割近くを占めるため、改めてUI・UX(ユーザーインターフェイス・ユーザーエクスペリエンス)を見直すとしている。
