【パリ=松井孝予通信員】仏エルメス・インターナショナルの24年12月期決算は、売上高が152億ユーロ(為替の影響を除く)、営業利益は40%増の61億ユーロ、純利益は30%増の46億ユーロと、欧州ラグジュアリーメゾンが中国市場の景気低迷に直面するなか、唯一2ケタの増収増益。成長率は前年よりやや減速したが、地域別ではアジア太平洋(日本を除く)で7%増、日本はローカル戦略が奏功し23%増(14億ユーロ)、欧米市場も2ケタ成長を維持した。
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製品別では、ウォッチ以外の全部門が増収。特に売上高の40%を占めるレザーグッズ&馬具が18%増(65億ユーロ)、ウェア&アクセサリーその他のメティエ(ビジュー、テーブル用品など)も2ケタ増だった。
決算発表の場でアクセル・デュマCEO(最高経営責任者)は、成長を支える戦略の核に「人間性」を掲げ、「エルメスのスターは職人と販売員」と強調。全社員に特別手当として4500ユーロを支給する。マーケティングに依存せず、あくまでサヴォワールフェール(匠の技)を重視する姿勢を示した。またウェア、ビジュー、ビューティー部門での新たな展開や、コスト高・為替を考慮し6、7%の値上げにも触れた。