機織りの重要な工程「経通し職人」の地位向上へ マルマス経糸準備代表・府川容子さんに聞く

2023/06/28 12:30 更新有料会員限定


移住先の浜松市で製織に欠かせない「経通し」に出会い、独立を決めた府川さん

 静岡県浜松市在住の府川容子さんは、織布の準備工程「経通し」(へとおし)に魅力を感じ、21年に準備工程を専業で手掛けるマルマス経糸準備を立ち上げた。経通しは、糸切れ防止のドロッパー、経糸通しを開いて緯糸を通すための綜絖(そうこう)、織り目を揃え生機に押し付ける筬(おさ)の三つの穴に、一本一本を順序違わず通していく。その数は多いと1万本に上る、織機を動かす前の最後の工程だ。担い手の多くが内職や機屋専属の職人として働く。機織りの重要な工程であるにもかかわらず低工賃を強いられる現状を変えていくと共に、深刻化する担い手不足にも対応する。

(森田桃子)

黙々と働く魅力

 府川さんは41歳。神奈川県出身で、結婚を機に浜松に移り住んだ。大学では教育学を専攻し、卒業後も6年間イギリスやフィンランドで教育哲学を学び、帰国後はインテリア関係の会社に勤め、移住当初は遠州織どころか、生地の知識も無かった。

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