長野~金沢周辺施設に活気 改装で地元・観光客呼ぶ
北陸新幹線が14日、開業する。東京~金沢間は約2時間半で結ばれ、観光資源が豊富な北陸と首都圏の距離がぐっと縮まる。新区間(長野~金沢)主要駅周辺の商業施設は新しい人の流れを取り込むため、大規模な改装を加速させている。
一方で、首都圏への流出や、来年春に北海道新幹線が開業すれば北陸への関心が薄れることも予想される。さらに富山県小矢部市に今年7月、北陸初の本格的なアウトレットが開業する。商業施設の競争激化が避けられないため、街の連携や地元ニーズへの対応を強める動きが目立つ。
御開帳も追い風
長野新幹線の終点だった長野駅周辺は、7年ぶりの善光寺御開帳(4月5日~5月31日)と重なり、相乗効果が期待されている。終着駅としてのメリットはなくなるが、まずは長野の魅力をアピールする好機とみる。
駅ビル「ミドリ長野」(ステーションビルミドリ運営)は7日、既存ビルの改装と新ビルの建設を完了し、合計112店でグランドオープンした。これまでレディスファッションを主軸にしてきたが衣食住にも広げ、「地域住民の日常利用と観光客へのおもてなしを両立させた」(篠原俊明ステーションビルミドリ取締役SC事業部長兼長野店店長)とする。
県内初の「ユナイテッドアローズ・グリーンレーベルリラクシング」「東急ハンズ」のほか、「ザ・ノース・フェイス」「ニコアンド」、食料品ゾーン「ミドリマルシェ」などを導入し、男性客から主婦、ファミリーまで幅広く集客。一方で土産品、飲食店など観光客向けMDを構築し、信州の情報発信やイベントを積極化する。行政や駅と連携した信州発信プロジェクト「信州100ストーリーズ」も始動した。
駅前に立地するながの東急百貨店は、営業時間を1時間延長している。3月5日~4月15日は夜8時(レストランは夜10時)まで営業し、食料品や服飾雑貨で信州をキーワードにした催事を打つ。
買い上げ客の7割以上がカード顧客で観光客は少なかったが「ミドリ長野が先行オープンした昨年11月以降、入店客数が増え、エリアの集客力が高まっている」(岩本隆之ながの東急百貨店常務営業本部長)とし、駅や近隣ホテル、商店街との共同販促にも意欲的だ。
北陸初アウトレット
最速の「かがやき」が停車する富山駅周辺でも開発が盛んだ。富山ターミナルビルは14日、新幹線の高架下に「きときと市場とやマルシェ」をオープンする。富山の海産物や和菓子を中心に59店が入る。同社が運営する商業施設「マリエとやま」は1日、富山初のレディス「テチチ」など13店を新規導入。「好日山荘」など、登山客が多いエリアニーズにも応えた。
新駅(新高岡駅)が開業する富山県高岡市ではイオンモール高岡が6日に改装オープンした。130店の専門店のうち、49店を改装、北陸初8店などを含む新店17店を導入した。地元セレクトショップの「グレンパーク」や、富山の薬で有名な廣貫堂の和漢薬膳カフェ「癒楽甘・春々堂」など富山色を強めた。
高岡市に隣接する小矢部市には、三井不動産が北陸初の本格的なアウトレットモール「三井アウトレットパーク北陸小矢部」を7月中旬に開業する。ファッションから物産店までアウトレット初、北陸初を数多く揃える。約160店が入り、店舗面積は2万6000平方㍍。能登半島や金沢、富山、岐阜と観光エリアの中心部に位置することから観光とショッピングの両面で集客が見込めるため、既存商業施設にとっては大きな脅威となりそうだ。
北陸新幹線の終着駅となる金沢駅ではエキナカの金沢百番街(金沢ターミナルビル)が14日、ファッションゾーン「リント」の売り場面積を80%増床する。「アーバンリサーチ」「フィント」「中川政七商店」など北陸初の11店を含む計25店を導入する。30日から放送されるNHKの朝の連続ドラマの舞台が石川県・能登地方のため、ドラマがヒットすれば観光客の上積みも見込める。