2022年も「+α」な視点で楽しむシネマの旅「CINEMATIC JOURNEY」をご一緒したく、ナビゲーターを務めさせていただきます!
新年初の旅先は世界3都市。
というわけで早速、最初の旅先、日本のとある扉の前に…
ここは浅草寺や雷門とは徒歩圏内のブティックホテル「浅草楓」。
❝浅草はいつもモダン❞
そんなフレーズを隠し味に、昨年末2021年12月16日にオープンしたばかりの当館は、江戸文化の「粋」が随所に香る、全9室それぞれのネーミングと設えが魅力的だ。
たとえば上記扉の先に広がるのは、ジュニアスイート「北斎」(下記画像)。
通称「北斎ブルー」をテーマカラーにトータルコーディネートされたインテリアや、北斎の代表作、名所浮世絵揃物『富嶽三十六景』全46図中から「凱風快晴」「神奈川沖浪裏」「東都浅草本願寺」が壁を飾る。
数年前、当コラムにても紹介した葛飾北斎に関する初の長編ドキュメンタリー『大英博物館プレゼンツ 北斎』を筆頭に、北斎誕生の地こと隣接の墨田区には、妹島和世により設計された「すみだ北斎美術館」などなど、世界的に北斎の人気度は高いことで知られるだけに、まずはこの空間から「CINEMATIC JOURNEY 2022」をスタートしたく思った次第。
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また北斎とならぶ江戸時代の浮世絵師、歌川広重の名所絵を独自にセレクトしたデラックススイート「広重」や、陶芸家濱田庄司に代表される「益子」など、日本の伝統工芸の一端を体感する空間、そしてまた地元と連携した一流の職人による「藍染体験」や「銀器体験」(下記画像)など、スペシャルなチャレンジを実現できるのも嬉しい。
さて、なぜまた浅草の街から新年の開幕を?というと、そのきっかけとなった映画があるから。
その作品とは、当館のオープンと時を同じくして昨年12月9日よりNetflixで独占配信された『浅草キッド』。原作は、ビートたけし。師匠である芸人・深見千三郎と過ごした青春時代を描いた自伝小説の映画化だ。監督・脚本は、幼少期から彼に憧れていたという劇団ひとり。
主演は大泉洋(師匠役)と柳楽優弥(たけし役)のダブルキャスティング。そして主題歌は桑田佳祐の「Soulコブラツイスト〜魂の悶絶」、といった濃厚な一作。
ここで補足として念のため…(世代によってはご存じない方もおいでかと思うので)ビートたけしとは、世界的に映画監督としても知られる、あの北野武と同一人物です!
続いて向かった先は、20世紀フランスの架空の街、アンニュイ=シュール=ブラゼ。
『浅草キッド』同様、毎度名演ぶりに注目の女優レア・セドゥ(画像下)をはじめ、かなり濃厚かつグローバルな顔ぶれが集結した、ウェス・アンダーソン監督10作目祝賀的作品と称したい『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』の舞台となる街。
そのタイトルからも推測がつくように、人気雑誌の舞台裏を垣間見る本作に宿る「活字文化とフレンチ・カルチャーに対するラブレター」。
その熱き思いに共感した、フランスのジュエリーブランド「SERGE THORAVAL」。「刻印されたメッセージを贈り、身に着けることでストーリーが生まれる」という個性派だ。
劇中で編集長が記者たちに投げかける言葉“NO CRYING(泣くな)❞が刻まれたスターリングシルバーのバングル(下記画像右)は、前述のホテルと地元文化のコラボ体験の一つ「銀器体験」の職人の技、そしてまた芸人魂とどこか重なる。
なお「SERGE THORAVAL 表参道店」では、本作のワンシーンを切り取ったパネルが登場する『THE FRENCH DISPATCH』展を開催(1月14日~2月6日)。
そしていよいよ新年初「CINEMATIC JOURNEY」のゴールは、イタリア・フィレンツェ。
当地にて1921年に創設された世界のラグジュアリーファッションを牽引するブランドのひとつ「グッチ」と注目の映画のマッチングを満喫できる展示の話題。
グッチ銀座3階にて1月31日まで開催中の、ブランドの歴史を象徴する厳選されたウェアやバッグのアーカイブはグッチファンのみならず、映画ファンにとっても必見だ。
世代によっては懐かしくもあり、またヴィンテージ感を小気味よくデザインに落とし込むクリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレが生み出す遊び心に満ちあふれたコレクションの神髄を、目の当たりにすることができるから。
そしてまた何よりも、展示されているいずれもがリドリー・スコット監督による話題作『ハウス・オブ・グッチ』の撮影のために、MGMとスコット・フリー・プロダクションに貸し出されたオリジナルアイテムや小道具から厳選されたものだというのだからなおさらだ。
ちなみにウェアは本作でレディー・ガガが着用している。
1月14日(金)より全国公開
配給:東宝東和
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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中