親愛なる「MOTHER」たち(宇佐美浩子)

2022/10/31 06:00 更新


新生「MOTHER」増加傾向にある、と聞く昨今の日本。思えば身近な顔ぶれの中でも、新米ママ誕生を祝う機会が少なくない。それはまたスクリーンでも、「MOTHER」をフィーチャーする傾向にあるような⁉

たとえば現在公開中のフレンチシネマ「愛する人に伝える言葉」では、母親役のカトリーヌ・ドヌーヴと、末期がんの息子を熱演するブノワ・マジメルとの熱きバトルは、感情移入することしばしばの注目作。

また近年の活躍ぶりが目覚ましい女優、寺島しのぶが演じる母親役は、毎度「見応えあり!」だ。

そこで今回の「CINEMATIC JOURNEY」は、「親愛なる『MOTHER』たち」をテーマに掲げ、期待を裏切ることなく(笑)、インパクト大な寺島ママが登場する『天間荘の三姉妹』から。

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タイトルにもなっている三姉妹を演じるのは、のん、門脇麦、大島優子。三者三様の個性豊かなキャラクターを、それぞれのテイストとマッチングさせ、心地よいハーモニーをスクリーン上に奏でる。

そんな彼女たちの家族のカタチも同様に、「多様性に富む現代社会の縮図的」のみならず、「いかなる時代においても決してレアではない」ことを痛感する相関図で成り立っている。

そして今を大切に生きることの意味合いも、登場人物たちの背後に潜みつつ、観る者の心に時に優しく、また時に強く訴えかけてくる。


「通」であろうとなかろうと、納得のオールスターキャストとも称したいほどの顔ぶれが集結した本作。実はそこにもまた、もう一人の注目すべき「MOTHER」がいる。

長期滞在ゲスト役の三田佳子。女優歴半世紀を超えるだけに、その円熟の味わい深さが若手3姉妹役ばかりか、母親役にも及んでいるに違いない。

美しい海と心温まるホスピタリティーで、いつまでもゲストの心を潤しつづける老舗旅館「天間荘」。その実像はスクリーンで確かめたい!


天間荘の三姉妹

10月28日より全国公開中
配給:東映
©2022 髙橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会


「親愛なる『MOTHER』たち」をテーマに旅する今回の「CINEMATIC JOURNEY」。続いて向かう先は、スペイン、マドリード。

おそらく彼の名を目にしたなら、すぐさま連想ゲームのようにヒロインを演じる女優を思い浮かべるだろう。そんな最高のチームプレーを披露してくれるのは、ペドロ・アルモドバル監督と女優ペネロペ・クルス。


❝sooo Almodóvar!!❞ カラーに染まる本作。

☑前述の作品に登場した長瀬正敏が演じる父親の職業同様、本作ヒロインの職業「写真家」を反映したかのようなタイトル『パラレル・マザーズ』


「私たちはみんなフェミニストであるべき」というレターが象徴的なマリア・グラツィア・キウリのデザインによるディオールのTシャツ(画像上)をはじめ、モード感あふれるファッションや、インテリア雑誌のレイアウトを想像してしまうクールなレイアウト。


☑最たるは、監督のライフワークとも称される「母の物語」に加え、同じ日に母となった二人の女性の思いもよらぬ運命と絆の描写。

時折目に飛び込むカラー「赤」に、「血族」的イメージを重ねてしまうのは筆者の勝手な妄想か?

ともあれ、毎度見逃せないエンドロールのクレジット。ファッション通なら即座に判明するであろう、スタイリングの答え合わせのようなリストには、前述のディオールをはじめ、ルイ・ヴィトン、ジョルジョオ・アルマーニ、プラダ、ボッテガ・ヴェネタそしてスペインを代表するロエベなどなどと続く…


パラレル・マザーズ

11月3日よりヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテ他にて公開
配給:キノフィルムズ
© Remotamente Films AIE & El Deseo DASLU


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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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