遂にカレンダーも最後の1枚。
「年内にやるべきこと」なんてリストアップでもしようものなら、キモチの焦点が定まらなくなってしまいそう。同様に、「LOVE」というのもどこか似て非なるもののような気がする。
そんな気忙しい年末モードを「LOVE」でラッピングする「お出かけシネマ」プランを考えてみた。
まずは笑いと共感と、さまざまなメモリーなどがブレンドされた「ニューヨークの巴里夫(パリジャン)」。
記憶にある方も中にはおいでかと思うが、フランスの人気監督セドリック・クラピッシュの話題作「スパニッシュ・アパートメント」「ロシアン・ドールズ」と続いたシリーズ3部作にして、「自身のライフワーク」なのだとか。
ちなみに顔ぶれもお馴染みの面々が再び結集している。主演グザヴィエ役のロマン・デュリス、そして元恋人役のオドレィ・トトゥを筆頭に、セシル・ドゥ・フランス、ケリー・ライリー。それぞれ人生キャリアを重ねて登場している点が、過去2作品の鑑賞の有無に関係なく見どころの一つ。
加えて、子を思うフレンチ父の愛ゆえに向かった先のニューヨークで巻き起こる奮闘記は、情熱的コメディともいえそうな。
12月6日よりBunkamura ル・シネマほかにて全国順次公開
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次なる「追うオトコ」は、主演の加瀬亮が自らファンであることを公言していたホン・サンス監督とのスーパーコラボ「自由が丘で」。
物語は、愛しき韓国女性との再会を期し、主人公の日本人男性はソウルに2週間滞在しながら彼女の行方を探し求める。その軸となるのが、順不同のバラバラになった状態で文面を読まれていく彼女にあてた手紙。そして思いもよらぬ出会いの数々。果たしてその結末は・・・
監督独自のスタイルと評判の撮影当日に渡される脚本。また衣装から文庫本「時間」に至るまで、たまたま自前となったという加瀬スタイル。両者の共鳴度も絶妙。
ラストは、さまざまなロマンスを描く名監督、パトリス・ルコントならではの大人の純愛物語「暮れ逢い」。
1912年、ドイツ。実業家の美しき若妻シャーロット(レベッカ・ホール)に心奪われる、才能あふれる新入社員の青年フリドリック(リチャード・マッデン)。時の経過と共に2人はひかれあっていく。
だが、その先には越えねばならぬいくつものハードル、さらにはメキシコへの出向命令が下され…2人が交わす約束の行方をずっと見守りたくなってしまう。
スタンウェイのピアノから奏でられる「ピアノソナタ」の調べ、ゲランの香水「ルール・ブルー」のイマージュ、また着こなしもエレガントなクラシックなドレスの数々。ヒロインの美と才能に、男性ばかりか女性の観客も魅了されるだろう。
同様に、フリドリックの青年から紳士へと成長を遂げていくスタイリングの変遷も印象深い。
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中