フレンチな気分の6月(宇佐美浩子)

2018/06/06 06:27 更新


5月30日よりスタートし、9月3日までの長期にわたり、東京・六本木の国立新美術館で開催中の「ルーヴル美術館展 肖像芸術―人は人をどう表現してきたか」

アートを観賞する楽しみ方というのは各自各様のスタイルがあると思いますが、本展において個人的に興味深い視点のカテゴリーだなぁ~と思ったのが「コードとモード」

なぜなら、古代から19世紀までの数多の傑作と呼ばれるお肖像芸術がずらりと並ぶ中、「このステキなドレスやジュエリーをまとう夫人はどんな暮らしをしていたのだろう?」などと、勝手に思いめぐらす楽しい時間をもたらしてくれるから。

たとえばポスターにもなっている青いドレスの女性、通称「美しきナーニ」もその一つ。

そうした読み解きの手がかりとなるのが、いわゆるドレスコードとでもいうべき、身に着けている「ファッション(モード)」における、その当時の「作法(コード)」になるという、なんとも明解なテーマだと思った次第。

というわけで、巷でもしばしば耳にする日仏交流160周年を迎える今年。6月最初の「CINEMATIC JOURNEY」は、梅雨のシーズンにもフィットするインドアな楽しみと言えばシネマ!

ということで、毎年恒例のシネマイベント「フランス映画祭」をはじめ、映画祭でも上映される作品に主演の若手フレンチ女優の来日会見の話題などを交え、「フレンチな気分の6月」をテーマに

Bon voyage


というわけでまずは「フランス映画祭 2018」の話題から。

1993年に横浜で誕生し、26回目となる今年は、13年ぶりに開催地を再び東京から横浜へと移し、6月21日から24日まで「みなとみらい地区」(横浜みなとみらいホール、イオンシネマみなとみらいなど)にて開催される。

そして今回は横浜市出身、「フランス語番組」担当などなど、フランスに縁のある女優、常盤貴子がフェスティバル・ミューズに就任。ちなみに彼女にとってフランス映画は、ファッションやメイク、ライフスタイルなどにおける教科書のような存在だったとか。


“フランスでは映画を「アート」として捉えられているそうです。フランス映画というと「難しいな」と悩んでしまう方も多いかと思いますが、「アート」のように何枚もの絵画を観るような感覚で、映画を観ていただければと思います”(4月23日に開催の記者会見にて)

というわけで、開催が待ち望まれる当イベント。数ある興味深い作品のラインアップの中でも、そのタイトルに好奇心がそそられる方も多そうな一作。

その名も『グッバイ・ゴダール!』。まさか、フランスを代表する監督が主役??


主演はもちろん!ゴダールを演じるルイ・ガレル、そして元妻役のステイシー・マーティンという、今注目の若手俳優二人。

ちなみに原作は、「その元妻」ことアンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝的小説。残念ながら彼女は本作完成を観て、昨年、旅立たれてしまった、まさに遺作というべき作品だ。

ともあれ、そんなアンヌ役を演じるステイシー・マーティンが先日来日し、7歳から12歳まで日本で暮らしていた際、通っていたリセの近くで記者会見が催された。

“伝記モノではなく「コメディー×ラブストーリー」的ポップコラージュな感覚の本作出演するにあたり、当時のアイコンとなる女優、例えばジェーン・バーキンとか、ゴダール監督の『男性・女性』(白黒映画)に出演していたシャンタル・ゴヤとかを、いろいろ参考にさせていただきました。だから、ヘアスタイルもシャンタル・ゴヤと同じにしてみました!” 

と語る彼女。前述の常盤貴子のコメントにもあったように、本作もまたファッションやヘアメイクなど、魅力あふれる映像となっている。


また、5月革命のシーンなどを演じつつ、60年代そのもののエネルギッシュさとか、バイタリティーを実感する一方、ゴダールとアンヌの関係性についても、彼女らしいコメントが▼▼

“アートのすばらしさというのは年齢に関係がないと思っています。またゴダール然り、アーティストというのは、常に問いかけるをすることをやめない。本作を通じてアンヌが長いこと考え、決めたことに胸が打たれました。彼女はとてもエレガントで正直な女性だと…”

そこで「是非とも早く見たい!」という方は、フランス映画祭へ足を運んでみては?


さて、ご覧の通りファッショニスタとしても注目を集めているステイシー・マーティンだけあり、記者会見当日のスタイリングもすべて自前だという。

ちなみに、トップスはバリー、パンツはディオ―ル、ブーツはルイ・ヴィトン、そしてリングはショパール。

さらにまた彼女は、ミュウミュウのフレグランスの広告キャンペーンにも登場する、ミューズでもあり、『プラネタリウム』や『グランド・セントラル』で知られるフランスイン監督、レベッカ・ズロトヴスキが監督兼脚本を務めたキャンペーンムービーにも登場している。

マルチな活躍が期待される女優の1人になりそう☆


『グッバイ・ゴダール!』

7月13日(金)より新宿ピカデリー他全国順次公開予定

©LES COMPAGNONS DU CINEMA -LA CLASSE AMERICAINE -STUDIOCANAL -FRANCE 3.



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