ビジネスインテリジェンスサービス会社のL2(ニューヨーク)が、インスタグラム(スマートフォンで撮影した写真を友人らと共有できるアプリ)に関する調査結果を発表した。フェイスブックは依然多くのユーザーをつかんでいるが、若い客層に向けた販促にはインスタグラムの重要性が増している。
フェイスブックの年齢別ユーザー数を11年と14年で比較すると、13~17歳では25.3%、18~24歳では7.5%、それぞれ減少した。一方、25~34歳は32.6%、35~54歳は41.4%、54歳以上は80.4%、それぞれ伸びた。L2によると、米国の300万人のティーンエージャーが11年から14年にかけてフェイスブックの利用をやめた計算になるが、その年齢層にとって最も重要なソーシャルネットワークになっているのがインスタグラムだ。
L2は九つのカテゴリーにおける250ブランドのインスタグラムでの成果を検証した。ファッションでは欧米の最高級デザイナーブランド及び「コーチ」や「トリーバーチ」「ワービーパーカー」など32ブランドが含まれ、小売業では高級百貨店からファストファッション、大手ディスカウントチェーンなど52の小売りが含まれている。
それによると、14年第4四半期における通常のフォロワー数は60万3000人だった。カテゴリー別ではスポーツウエアブランドの通常のフォロワー数が130万人と最も多く、ナイキとアディダスがリード役になっている。カテゴリー別で2番目に通常のフォロワー数が多いのはファッションで、120万人を数える。ただし、フォロワー数の多さとインスタグラムの写真が売り上げに与える影響は比例しない。調査によれば、ネット販売の売り上げが最も高くなるフォロワー数は1000から1万の間だった。
お客とより関係性を深める上ではUGC(ユーザー作成コンテンツ)が非常に有効だが、インスタグラムから取り込んだUGCをウェブサイトのギャラリーで活用しているブランドは18%のみ。商品のページでUGCを使っているブランドは9%にとどまったが、アパレルではこの手法によって購買率を最高6.4倍高められるという。
動画は、スポーツウエアでは非常に効果的だが、ファッションと小売業では効果が最も低いという結果が出た。3分の1のブランドが週20回以上投稿していることや、商品の写真がお客とつながる上で最も重要であることも明らかとなった。
(ニューヨーク=杉本佳子通信員)