伊藤忠商事は、組織の壁を越えて社員がオンライン上でチームを作り、組織横断的な案件の推進を可能とする「バーチャルオフィス」の23年4月からの導入を決定した。
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バーチャルオフィスは「社員が高い関心や熱意を持つ案件に、本業以外の細切れの時間を利用して希望する社員のみが携わることが出来る」取り組みとなっている。同社では19年7月に第8カンパニーを設立し、従来の商品基軸による部・課を設けず、異業種融合・カンパニー横断の取り組みを加速させ「マーケットインの発想」による新たなビジネス創出を目指している。
同社は、全社的なバーチャルオフィスの有効性を検証すべく、22年10月から12月までの3カ月間、トライアルを行った。その際に、五つの案件が設定され、全社から性別・勤務地・年代・職掌などバックグラウンドの異なる社員が集まり、案件ごとに新規事業創出に向けた議論が行われた。この取り組みは、「短期間であっても成果を求められる」ことが特色。「自ら手を挙げ、案件に参加していることから参加者の熱意も高く、近い将来、花開くことが期待されるビジネスアイデアが複数生まれている」としている。
また、トライアル参加者へのアンケートからは、91%の社員がバーチャルオフィスを通じた自身の成長、カンパニーを越えた人脈の広がりなどにより、働きがいが高まることが確認された。また、本業以外の細切れ時間の活用、社員自身の高いモチベーション維持から「当初懸念していた本業への支障や多残業といった問題にもつながらなかった」としている。トライアル参加者の上司からも同様の回答があり、「バーチャルオフィスへの参加を通じて組織の壁を越えた新たな価値創造や社員の成長・働きがいの向上につながる」などとしている。