日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)による「J∞QUALITY(Jクオリティー)ファクトリー・ブランド」プロジェクトは海外販路開拓に本腰を入れている。伊フィレンツェのメンズ見本市ピッティ・イマージネ・ウオモ(1月展)への出展が3度目となる今回は、同プロジェクトの総合アドバイザーを務めるユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文氏と、商品企画ディレクターに起用されたメンズブランド「ユーゲン」を手掛ける小山雅人氏に、日本の物作りの強みと今後の海外事業の可能性について聞いた。
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〈対談〉
- 同プロジェクト総合アドバイザー、ユナイテッドアローズ上級顧問 栗野宏文氏
- 同プロジェクト商品企画ディレクター、「ユーゲン」デザイナー 小山雅人氏
技術の買収に危機感
――日本の物作りを巡る状況が変化している。
栗野 デニムやきものなど日本の優れた技術が海外のラグジュアリーブランドに買収されています。スキー場や水源のように繊維・ファッション産業も巨大な資本力から守れない状況に危機感を感じています。インディペンデントのデザイナーは服作りができなくなるでしょう。工場や産地は産業全体にとっての「コモン」(共通財産)であり、なくてはならないもののはずです。買収された工場にとっては受注増や工賃アップ、雇用の継続性などプラス面も大きいでしょう。ラグジュアリーブランドがクオリティーを担保するために優れた工場を買収するのは欧州で先行しています。
小山 欧州でハンドメイドを駆使した服が作れるのはラグジュアリーブランドだけになりつつあります。資金力で技術が独占されかねない状況でいいのでしょうか。海外のインディーズブランドは日本の工場に高い関心を示しています。もっと日本の物作りが海外との接点を持てれば、世界へ広がる可能性はあるはずです。
――作り手の課題も多い。