ジュンはECを強化するなかで「リアルタイムのチャット接客が稼働し、お客様の満足度向上に大きく貢献している」(佐々木進社長)という。担うのはベテラン社員で、スキルを生かす新たな働き方の一つになっている。「リアルとECの体験価値の境をなくす」アナログな手間ひまを掛けた取り組みが奏功している。今期(22年9月期)のEC売上高はコロナ禍で伸ばした前期からさらに6%増の見込みで、EC比率は35%まで高まっている。
ECのチャット機能はAI(人工知能)による対応が多いなか、同社が20年から立ち上げた「ウェブカスタマーサービス」(WCS)は接客のスペシャリストのベテラン社員を中心に現在15人がリアルタイムで対応している。コーディネートの相談で「カジュアルときれいめのスタイリングが知りたい」には、文章だけでなくコラージュ画像を使った提案を行う。「ベージュかダークブラウン。使い回しが良いのはどちらか悩んでいます」では、それぞれのカラーの着こなしを画像で提案するなど、パーソナライズされた悩みの解決が受けている。
画像は用意しているものもあれば、要望に応えてその場で作る場合も。しかし、「5分後にお戻りいただけるとできています」と、客を拘束しないで待たせないようにしている。「ネットでこんなことが聞けるとは思わなかった」など、利用者アンケートでは85%が「すごいですね」と好評だ。
同社は多くのブランドを販売しているため、多様な要望に応えるには幅広いブランドの理解と商品知識が必要で、ワンブランドだけの知識では対応できない。WCSは完全リモートで、「産後復帰や通勤時間が長い社員、家族の転勤で引っ越し近くにショップがない社員などの新たな働き場として定着してきている」(中嶋賢治EC事業部情報システム室ロジスティクス部取締役執行役員)と、企業としてもスキルが高く、経験豊富な人材の流出防止につながっている。