ケイスリー ソーシャルグッドなブランドを扱う新部門

2020/01/29 06:27 更新


 国内外のブランドの代理店業務などを行うk3(ケイスリー)は昨年、ソーシャルグッドなブランドを扱う部門「サステイナブルk3」を開設した。ここ数年で、今の地球環境に対して危機感を抱く欧米ブランドが急増。そんな中、環境を汚すことなく、美しい地球を次世代に残すために、それに特化した部門を立ち上げた。

(青木規子)

環境への意識 消費者と共有

 取り扱いブランドは、環境に優しい取り組みとともに、ファッションとしても楽しめる点を重視している。品質を落とすことなくソーシャルグッドな活動を行うブランドをピックアップし、日本市場に発信する。一般消費者と意識を共有し、社会全体にサステイナブル(持続可能)の意識を浸透させることを目標に掲げている。

 開設のきっかけは、スウェーデンのレッグウェアブランド「スウェーディッシュストッキング」との出会いだ。同ブランドは14年から、環境負荷の少ない製法でリサイクルしたナイロンを使ってストッキングを作っている。長持ちするように、強度は通常の3倍。古くなったストッキングを回収するプログラムも行っている。ベーシックなタイプとともにカラフルな商品を充実するなど、ファッションとしての楽しさも重視している。

 手掛けるのは、ミレニアル世代のスウェーデン女性だ。「石油由来のストッキングは莫大な消耗品であり、年間20億足が捨てられている」という事実を目の当たりにしたことが、ブランド立ち上げの原動力になったという。19年には100%リサイクル素材による「イノベーションライン」も完成した。

 現在の取引先は、伊勢丹新宿本店、高島屋新宿店、大丸東京店、バーニーズニューヨークなど。接客の際、リサイクル素材をネガティブに捉え、「ゴミからできたものは嫌」という客も一部いる一方で、その価値観を浸透させていくためにリサイクルボックスを併設する店では、回収のストッキングの量が少しずつ増えているという。1800~5800円。

リサイクルナイロンで作る「スウェーディッシュストッキング」

 韓国のシューズブランド「ノード」も知名度が高まりつつある。ポリエステルニットをアッパーに使ったフラットシューズをさまざまな色柄で提案。ニットの糸はペットボトルから作るリサイクルポリエステル100%で、日本のペットボトルが原料の90%を占める。糸はオランダのグローバルリサイクルドスタンダードの認証を受けている。インソールに重ねた生地は吸水・速乾性に優れ、シューズ内の湿度は快適。伸縮性があって、はだしでも気持ち良く、洗濯機で洗える点も魅力だ。1万4000~2万5000円。

 松屋銀座本店で定期的にノードの期間限定イベントも開いている。客層とアイテムの相性が良く、毎回好調だ。3月以降、バーニーズニューヨークとの協業でスクエアトウのシューズも発売する。

リサイクルポリエステルで作る韓国のシューズ「ノード」

日本ではまず商品力が大切

 いずれのブランドも、サステイナブルな考え方に共感した売り手が、その価値観や認知を浸透させようと努力している。一方で、一般にはサステイナブルの意識はまだ浸透していない感触もある。

 ケイスリープレス担当の岩本えりかさんは、「日本ではまず(サステイナブル以外の)商品力が大切。浸透してから、実は環境に配慮するブランドでもあった、というふうに気付いてもらうことが重要だと実感している」と話す。

サングラス「EOE」は生分解性の高いセルロースアセテートのフレームや、リサイクル糸のケースを使っている(2万9000~5万円)


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