カネカは、毛抜けを軽減したエコファー「ラストラス」の販売を強化する。日本を起点に、中国、ロシアで拡販し、20年に600万㍍の販売を目指す。2月に日本で初めてとなる新作発表会を都内で開き、アパレルメーカーや生地商社など300社に向け、リアルファーを目指したデザインから、リアルファーでは表現できない鮮やかな色柄まで、多様な商品を提案した。
ラストラスの最大の特徴は、エコファーの弱点である毛抜けの抑制。モダクリル繊維「カネカロン」に特殊加工を施すことで、従来品の10分の1まで改善した。脱落毛による汚れ、肌や衣服への付着による不快感を軽減するほか、ボリュームダウンによる劣化を防ぐ。
表面、裁断面ともに脱落毛を抑えられるため、生産工程中も扱いやすい。カネカロンを80%以上使用し、本物のような色艶、豊かな毛並み、触感を備えるのも魅力だ。10年秋に発売し、欧州の高級ブランドやグローバルSPA(製造小売業)、日本のレディスアパレルなどで採用されてきた。価格は1㍍当たり10~20㌦。中国と韓国のパイル編み物メーカーに技術をライセンス供与し、生産している。
内外でエコファーが浸透してきたことや「日本のファッションが注目されている」ことを追い風に、日本を起点にリブランディングする。ブランドロゴも刷新した。イベントなどを通じて、国内でのブランド力を高め、市場の大きい中国、ファー需要が多いロシアでの拡販につなげる。
今回の発表会では、ライセンス契約先の一つである韓国の京元と協業し、約100種類の生地見本と、韓国のアパレルメーカーで縫製した約40の製品サンプルを展示した。