【パリ=松井孝予通信員】仏ケリングは、創業家2代目のフランソワアンリ・ピノー氏がCEO(最高経営責任者)を退き会長職に専念、後任にルカ・デ・メオ氏が就任し、経営体制の移行が完了した。デ・メオ氏は就任3日後の18日、傘下メゾン「グッチ」のCEOにフランチェスカ・ベレッティーニ氏を任命。同時に副CEO職を廃止し、経営ラインを一本化した。
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副CEOは23年に新設され、ベレッティーニ氏とジャンマルク・デュプレ氏が担ってきた。ケリングは当時、経営体制の強化が目的としていたが、ピノー氏が退任を見据えつつ設けた特別なポストだったとの見方もある。今回の人事で、デュプレ氏はグループのCOO(最高執行責任者)を続ける。
グッチはグループ利益の約3分の2を占める収益源でありながら、22年に売上高が100億ユーロを超えた後、24年は20%減の76億5000万ユーロに縮小。25年上半期も前年同期比25%減と厳しい状況が続く。デ・メオ氏は「グッチはグループの旗艦であり、最も注力しなければならない」と強調した。
ベレッティーニ氏は13年に傘下メゾン「サンローラン」のCEOに就任し、10年間で売上高を6倍に拡大。低迷していたブランドをグループの成長エンジンへと転換させた実績を持つ。7月にグッチのアーティスティックディレクターに就任したデムナ氏との連携が再建の成否を握る。ミラノで9月23日に開催されるグッチのショーが、この新体制の第一歩となる。