「この頃のお客様は、接客を求めていない」という声をよく耳にします。「接客されることを求めていない」ということなんですが、どうなんでしょうか?
確かに、今の世の中、あまりにシステムが発達しすぎて、切符を買うのもセルフ。買い物も、ほとんどスーパーかコンビニで、会話は不要。友達との連絡も、さっさと携帯や、PCで済んでしまう。自分から、「言葉」をかけなくても、生活ができてしまいます。
そういう環境に慣れてしまうと、お店に入ったときに、「親しげに近寄ってくる」販売員の相手をすることが、面倒に思えるのでしょう。
つまり、お客様自体が、「接客」を受ける体験が少なくなったことが一つに理由にあります。
そして、現場で仕事をしているスタッフも、仕事を離れれば、お客様と同じですから、「接客は受けなくてもいい」と感じています。それを、「接客はしなくてもいのだ」という、都合のよい解釈に変えて、思いこんでいる!
もう一つ、管理する立場にある本社の方も、「接客は必要だとは思うが、何分、定着率も悪く、アルバイトやパートのスタッフに教育を提供するほど余裕はないし、投資の無駄でしょう」と、教育には逃げ腰になっています。その、「言い訳」としても、便利なフレーズです。
このように、個々の立場の人たちが、自分の都合のよい表現として受け止めているような気がします。でも、もうすこし掘下げてみると、「接客されることを求めていない」ということは、「買い物気分を台無しにするような、あまりにマニュアル的な、もしくは幼稚な接客は、もうたくさん!」というニュアンスでもあるようです。
どこに入っても、「いかがですか?」「よろしければ、ご覧下さい」・・・そして、何を手にとっても、どんなお客様にも、「可愛いですね!」の一つ覚えでは、お客様がうんざりするのも無理はないでしょう。お店に入るたびに、同じ台詞を聞かされるのですから!
本当は、「こちらが心地よくなるような、きちんとした接客をしてほしい!」という気持ちを伝えたいのではないでしょうか?コンビニだから、そこまでは求めない。価格の安いブランドだから、そこまでは求めない・・・期待はしていない。売り手も、「安い商品」、または、「安くして売る」ことに慣れてしまうと、どうしても、荒削りな対応になります。それが、お客様の「接客離れ」に拍車をかけている。
「接客されることを求めていない」のも、「良い接客を受けたい」というのも、「接客」に向かうエネルギーは同じようにあるわけです。向き=方向が反対なんです。決して、「接客」に無関心な訳ではありません。お客様に、「接客」への関心があるならば、売り手が勉強する、歩み寄るしかないでしょう!
いかに、「売るか?」ではなく、「どこまでお客様に寄り添えるか?」です。今、接客に携わる人たちは、新しいスタイルを身につけることに日々余念がないというくらいの緊張感に包まれていてちょうどいいと思います。
ある料理人の言葉です。「1万だから、気持ちを込める。500円だから、手を抜く・・・そんなことは考えられない!」
20年のアパレル体験で痛感したこと=仕事の悩みは、本当のところ、「人間関係」。2000年に、「レックス」を設立。「仕事を楽しむスキル」を学んで、「元気な現場」をつくるサポートをスタート。自分が「楽しい!」と感じれば、相手にも好感度が伝わる!大手アパレルとの長いお付き合いで、スキルは常にバージョンアップ中!