東京では毎年かなりの盛り上がりを見せるVOGUE主催によるFashion’s Night Out(以下、FNO)。ここベルリンでもVOGUE Germany主催によるFNO in berlinが開催された。
初の参加とあって、事前情報もほとんどなく、様子が全く分からないまま向かったのだが、さすがは西のハイソエリア。老舗デパートから、GUCCI、Cartier、PRADAなどメゾンブランドのショップがひしめき合うKurfurstendamm(通称クーダム)がメイン通りとなり、ほとんどの店舗が夜遅くまで営業していた。
ゴージャスなライティングに、店舗の前には本格的なバーやランウェイショーを映し出すスクリーンが設置され、店内ではシャンパンやビールが配られるなど、東京と変わらない賑わいを見せていた。
その中で、14oz.というDenhamや日本のJapan Blue Jeansなどデニムを中心に取り扱っているセレクトショップから招待を受けていたので、友人と共に向かった。
14oz.は、1912年に建築家のロバート・ライプニッツによって建てられた宮殿の跡地を改装して作られたショップ。ありがちな安っぽい什器やシャンデリアで飾られたハリボテな”アンティーク風”とは全く違い、当時の趣がそのまま活かされた歴史を物語る本物の”アンティーク”に囲まれた店内には圧巻だった。
そこにキレイに陳列された洋服たちはプライスやアイテムに関係なく、とても上品に見えた。広々した店内はレディースフロアーとメンズフロアーに分かれ、カジュアルでシンプルなデザインながらもミドルハイ向けのクオリティー高いセレクトは見応えがあった。
店内から中庭に出ることが出来、同じガーデン内にある高級レストランのGROSZに繋がっている。
14oz.の店内を撮影中にこちらのマダム2人に声を掛け、写真を撮らせてもらった。
他にもモデル、イラストレーター、フォトグラファー、ショップスタッフなどいろんなファッショニスタたちと出会うことが出来たのだが、この街に誰よりも相応しく、”良いもの”が似合う女性をクローズアップしたい。
BLKシルクのドレスに、ハイヒールではなく、セリーヌのスリッポンを合わせているところにクラっと来た。
”ハズシ”アイテムもハイブランドな上に、サンローランのレッドのショルダーポシェットがさらにコーディネートを際立たせてた。14oz.の上顧客の方らしく、かなりのオシャレ上級者。
こちらは時間がなくてブランドを聞くことが出来なかったのだけど、VOGUE Germanyなどを始め、様々なファッション媒体を手掛けているというベルリン在住のスタイリストBrick氏。
パステルイエローをメインとしたカラフルコーデをここまでエレガントに着こなせる人はなかなかいないお見事なスタイリング。
ベルリンという街に、この様な”ハイソ”なイメージを持っている人はほとんどいないだろう。
事実、街を歩いていても、オシャレだと思う人に遭遇することはあっても、”良いものを着ている”と感じることがあまりなかった。良いものとは上質なもの、ここで言うならば、いわゆるハイブランドのことである。
しかし、クーダムと呼ばれるこのエリアは別世界の雰囲気を持つ。住んでいる人はもちろん、歩いている人も、食事をしている人も、そして、今回のFNOに来ていた人々もこのエリアでしか出会うことが出来ないであろう優雅さを持っていた。
年齢層が高く、落ち着いた雰囲気もまたそれを強く感じさせた。エキサイティングで、ヒップで、自由なベルリンも好きだけれど、長年ファッションに携わってきた身としては、こういった背筋がピシっとする刺激も浴び続けていきたいと改めて思った。
Photo by Satoko Tanaka
宮沢香奈 セレクトショップのプレス、ブランドのディレクションなどの経験を経て、04年よりインディペンデントなPR事業をスタートさせる。 国内外のブランドプレスとクラブイベントや大型フェス、レーベルなどの音楽PR二本を軸にフリーランスとして奮闘中。 また、フリーライターとして、ファッションや音楽、アートなどカルチャーをメインとした執筆活動を行っている。 カルチャーwebマガジンQeticにて連載コラムを執筆するほか、取材や撮影時のインタビュアー、コーディネーターも担う。 近年では、ベルリンのローカル情報やアムステルダム最大級のダンスミュージックフェスADE2013の現地取材を行うなど、海外へと活動の場を広げている。12年に初めて行ったベルリンに運命的なものを感じ、14 年6月より移住。