デザイナーの小池俊介さんが作るオリジナルブランド「コハクション」は、産地との協業を進化させている。丹後産地でちりめん特有の強撚した絹糸を使ったデニム(綾織)とシャンブレー(平織)の生地を開発。「デニちり」のブランドを付け17年春夏向けから、生地を使った服も販売する。
丹後ちりめんは、経糸(たていと)に撚りのない生糸、緯糸(よこいと)に1メートルあたり3000回前後の強い撚りをかけた生糸を交互に織り込み生地にしている。そして精練により生糸に含まれるセリシンを落とし、表面感のある生地にしている。これを応用しつつ、デニちりは経糸に綿糸を使った。デニム、シャンブレーともに絹がもつ光沢感がある。また、デニムは強撚糸の収縮によりストレッチ性のある生地に仕上がっている。
17年春夏はメンズ、レディスのシャツやジーンズ、メンズジャケット、ワンピース、小物がある。和装関係者からは「デニムのストレッチ性が着物に合うので使ってみたい」という声も寄せられているという。製品は織りから縫製まで全て国内。パルコの購買型クラウドファンディングサービス「ブースター」を活用した資金集めを12月まで行っている。
小池さんは3年前から丹後産地との協業を始め、これまで精練工程で練り分量を変え特徴の異なる素材を作り、製品化するなど、産地に入り込んで物作りをしてきた。国内産地の生地も「分かりやすい切り口を作れば、市場に受けれられる余地は十分にある。それを考えるのがデザイナーの役割」との考えから、今後も産地との協業を継続していきたい考えだ。