ルシアン(京都市)のレースが神社のお守り用で売れている。異色の分野へのチャレンジが軌道に乗った。
取り組みのきっかけは約10年前、東京の神社からの提案。当時は一般企業がお守りの製造に関わる例が少なく、業界の慣習やルールも手探りの状態だった。神社側に教えを請いながら、表現や製造工程には細心の注意を払ってきた。
使用するレースは、全てオリジナル。重視するのは、品質や柄が、お守りとしてのイメージと調和し、清浄さを損なわないこと。繊細な透け感や美しさを生かし、アクセサリーのように持ち歩きたくなると評価されている。
手がけているのは、下鴨神社のほか、複数の神社。同じレースの使い回しはしない。下鴨神社の季節ごとにモチーフが変わる「四季の守」などはSNSをきっかけに、国内外の参拝者が列を作るほどの人気。お守りの中身を見てはいけないという従来の作法にとらわれない「レース御守」を含め、神社側のアイデアから生まれた。「みたらし祭」時期限定のモチーフや干支(えと)の限定タイプなど種類も幅広い。

4月には、神社向けの企画を担う専任チームを立ち上げた。神社ごとに考え方やルールが異なるため、対話を重ねて進めている。小ロットだが、丁寧なやり取りが選ばれる理由と見ている。
今後は御朱印帳も視野に、神社と向き合う物作りでレースの新たな可能性を探る。
