デザイナーが信頼を寄せる刺繍アトリエ

2015/07/01 10:25 更新


 東京都渋谷区富ヶ谷に、多くのデザイナーが信頼を寄せる刺繍アトリエがある。柴田士郎さんと小川明子さんが主宰するレンミッコ(電話03・3468・579)だ。フランス仕込みの刺繍技法で、コレクションブランドのクリエーションを支える。アトリエを開設して11年。ひたすら裏方に徹しながら、刺繍の魅力を広めている。

眺めているだけで楽しい刺繍サンプル。右はウッドチップを縫いつけたもの、左はブレードで鳥の巣を表現した

 レンミッコの刺繍は、美しいクラシックなものからあっと驚くアバンギャルドなものまで、デザインの幅が広いのが特徴だ。「穴が開いて糸でくくりつけられるものならば、何でも素材になる」(柴田さん)と言うように、ビーズやスパンコールはもちろん、革からビニール、ウッドチップまで、実にさまざまな素材を使う。クチュール要素が盛り込まれたレンミッコの刺繍はチャレンジ精神と芸術性にあふれ、一般的な刺繍のイメージを超えている。「クリエーションを支える裏方として、クリエーターのイメージの幅を広げることには自信がある」と話す。

 柴田さんと小川さんは01年、仏パリに渡り、ともに刺繍アトリエが主宰するスクールで学んだ。二人が手掛ける刺繍は、オートクチュールメゾンで用いられる繊細で芸術的なリュネビル技法とマントゥーズ技法を組み合わせることで、さまざまな表現を可能にしている。

 現在、クライアントは国内のデザイナーブランドが中心だ。一点物のサンプル制作から製品まで、各ブランドのニーズに合わせて対応する。レンミッコのメーンのスタッフは、柴田さんと小川さんを含めて4人。海外ブランドとの取り組みにも挑戦してみたい気持ちはあるが、キャパシティーに限界があり、「自分たちの周りのことをパーフェクトにやっていきたい」との考えを崩さない。「もっと刺繍を広めたい」とアトリエの隣には教室を併設。小川さんが講師となり、月に20日ほど開いている。「一人ひとり丁寧に見たい」から、1回のレッスンの生徒数は4人。未経験者だけでなく、スタイリストやデザイナーなど業界人も通う。

アトリエに併設された教室で教える小川さん(右)
アトリエに併設された教室で教える小川さん(右)

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