リバティが150年記念コレクション 建築モチーフからデジタルデザインまで

2024/04/18 14:00 更新


 英リバティは、創業150周年となる25年春夏に記念コレクション「リトールド」を出す。定番の花柄を蛍光色などで現代的に再解釈したり、デジタル処理したデザイン、ロンドンの本店の装飾や建築図面のモチーフなど歴史と未来を感じさせる幅広いコレクションを揃えた。発表に合わせてチーフデザイナーのナターシャ・マレイ氏が来日し、作品を紹介した。

 2隻の船を解体して建造したチューダー様式の歴史ある店舗を舞台に見立て、ステージ、キャスト、オーディエンス、ネクストアクトのストーリーで構成した。「フローラル・オベーション」は1951年の試し刷り紙をベースに明るい黄、ピンク、サックスブルーといったフレッシュな色調で描き直した。格子と花のシルエットが重なった「チューダー・ペタルス」は店内の木彫りの花から着想、デジタル処理した陰影感あるチェックを組み合わせた。

店内の木彫りのローズをモチーフにデジタルでアレンジした「チューダー・ペタレス」

 「マスター・プラン」は建築やフロア図を幾何学柄のようにデザインし、モダンな配色に。「モーソン・メルバリー」は1906年ごろのアーツ&クラフツのユリの柄をトロピカル風の色にアレンジした。

建物やフロア図を幾何学柄のように仕上げた「マスター・プラン」
1906年の柄をトロピカル風にした「モーソン・メルバリー」

 精細な線でクジャクや花瓶、植物が描き込まれた「オスカーズ・パレス」は、リバティファンだった詩人・作家のオスカー・ワイルドの耽美(たんび)的な精神を表した。「アランデル」はシダ植物をペーズリー風に配置、トロピカルな配色で現代的なアレンジを加えた。「テクノ・ビート」は60年代の大胆な花柄をデジタル処理し、ノイズやモザイクをかけたような波紋が特徴。

 このほか、南半球の植物や、日本の白馬岳の草花をモチーフにした柄、欧州の庭園のイメージを取り入れた「ネイティブフラワー」シリーズや、アーツ&クラフツのデザイナーで日本でも人気が高いウィリアム・モリスとの協業も充実した。

デジタルで抽象柄を描いた「グリッチ」

■チーフデザイナーのナターシャ・マレイさんの話

チーフデザイナー ナターシャ・マレイさん

 以前は「アレキサンダー・マックイーン」でプリントや刺繍を経験し、18年にリバティに入社しました。リバティでこれまで100柄以上デザインしています。特に気に入っている「ピーコック・マナー」は英王室のカミラ王妃がワンピースを着られました。

 今回の記念コレクションではリバティのアーカイブと未来的なデザインの両方を表現しました。建物の彫刻や建築図面をモチーフに取り入れるなど、150周年らしい試みもしています。トリッキーなアレンジもあり、「これはリバティっぽくないかも」と心配もしましたが、未来に向けた要素を取り入れられたコレクションになりました。



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