記者が駆け出しの頃の90年代のM&A(企業の合併・買収)といえば、バブル崩壊以降の企業再編のような大きなケースが多く、言葉は浸透したがどこか遠くの国の出来事のように映っていた。繊維アパレル業界でもその頃は年に数件あるかないか。その後、2000年代に入ると全産業でみるみるうちに増えていった。M&A増勢の背景を探る。
(永松浩介)
コモディティー化
今年10月にライトオン(茨城県つくば市)とマックハウス(東京)が大手の傘下に入るというニュースが続いたが、今やびっくりするのも一瞬だけだ。リユース大手のコメ兵(名古屋)は同業を次々と傘下に収め、新興企業のユトリ(東京)も成長戦略の軸にM&Aを据え着々と実行する。米系ファンドによるマッシュホールディングスの買収は業界を驚かせたが、創業者がオーナーシップにこだわらず、ファンドをバックに経営の自由度を担保する新しい形をみせた。