奈良・マルサンフットウエアー 「TABIスリッポン」開発 クラウドファンディングも超過達成

2022/01/31 10:59 更新


 ヘップサンダル・皮革靴メーカーのマルサンフットウエアー(奈良県御所市、西邨安雄社長)は、足袋の形をそのまま生かした「TABIスリッポン」を開発、今年から本格販売する。卸販売やOEM(相手先ブランドによる生産)を中心に70年近い歴史を刻んでおり、今後は同ブランドを事業の柱の一つに育てていきたい考えだ。

 同社は西邨社長の祖父の代に創業した。クラボウの低反発材をインソールに活用したヘップサンダルの開発をはじめ、御所のサンダル産地の草分け的企業だ。その後も紳士・婦人の各種履物を生産、コロナ禍のなかで既存販路が伸び悩むなか、自社ブランドの開発や新たな企業像の構築に力を入れている。

 TABIスリッポンは、柔らかな牛皮を活用し、足の指が地をつかむような感覚を重視した。サンダルタイプ、シューズタイプを揃えるほか、足袋型のトングもある。シューズタイプもかかとの芯を抜きサンダル的に履く仕様に仕上げた。様々な服に合うようにフォルムを工夫したほか、特に指が分かれる部分のつり込み工程が難しく、何度も試作を繰り返して完成させた。「顧客に太陽のような笑顔を届けるための道のり」という意味を込めた自社商標「サンマイル」ブランドで展開する。サンダルタイプで税込み1万8150円。

 昨年末から1月にかけてキャンプファイヤーのクラウドファンディングに初挑戦。目標50万円に対し68万円の支持を集めた。販路開拓のため、2月のギフトショー出展を予定していたが、コロナの状況を見て今回は休止。既に展開している自社ECサイトのほか、これから新規販路の構築、商業施設での期間限定販売、商品をアレンジした別注企画などを模索していく。

 西邨社長は「卸中心だったため、マーケティングやSNSでの情報発信、BtoC(企業対消費者取引)事業など、第一歩を踏み出したばかり。産地で培かわれた職人の技を生かしながら、さらに商品をブラッシュアップしていく。スニーカー愛好者などにTABIスリッポンファンを作れれば」という。

試作を何度も繰り返して完成


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