地域特有のポイントを押さえる 自然体で入りやすく
島根県松江市にある「チャム」は、今年9月に15周年を迎えるメンズ・レディスのセレクトショップ。特にこの3年は、売り上げが右肩上がりで成長している。自然体な接客と、試行錯誤を重ねたディスプレーや独自性のあるサービスで、ファンの心をつかんでいる。
車社会の市場を分析する
オーナーの村上和也さんが、京都のアパレル企業や地元の古着屋で働いたのち、01年にオープンした。当初は住宅街の中にある、知る人ぞ知る店だったが、10年に大通りに面した場所に移店(売り場面積82・5平方㍍)。より幅広い客層が取り込めるよう、メンズは「スティルバイハンド」「オーラリー」「ユニバーサルプロダクツ」、レディスは「シンゾーン」「フィーニー」など、少しひねりのあるベーシック服を中心に品揃えしている。中心客層は30~35歳。
村上さんは松江のファッション市場を、「車社会で人に見られる意識が低く、おしゃれに対するハードルが高い」と分析する。モダンで都会的な店構えのため、恐る恐る入店する人も多い。そのため、あえて「服は二の次」でリラックスできるような接客を心掛ける。
「話して盛り上がって、リフレッシュできる店でありたい。商売っ気の無さが、店への信頼にも繋がる」と考えている。その代わり、車道から見える店頭のディスプレーはこまめに変え、着やすい服を選ぶことで入店を促す。また、オリジナルのラックは、幅や高さをランダムに配置することで客の目線を動かし、「一点一点見過ごさない売り場」を意識している。