今秋冬にデビューした松本恵奈のレディスブランド「クラネ」(クラネデザイン)が、順調に卸し先を拡大している。シンプルな中にひねりのあるデザインで30代以上の女性を取り込んでいるのに加え、ちょっと背伸びすれば買える価格のため下の世代の購入も見られるという。来春、初の直営店を東京の商業施設内に2店舗出す。
卸し先はアーバンリサーチ、ステュディオスといったセレクトショップや地方の有力専門店など、早くも110店にまで広がった。受注は予想の4倍。秋には商業施設で期間限定店も開いた。店頭では、ニットやアウター、布帛のボトムなどが売れているという。
「私や私より若い人は、ファストファッションの世代。ラグジュアリーブランドを着る人でも『ザラ』を合わせたり、格差が激しい。その間を埋めるような、クラネのデザインと品質と価格が支持されたのでは」と松本。「世の中にないけど、お客さんが求めているものを作ることが大切なのかなと思う」。
今後は卸し先を大きく増やすよりも、ブランドの育成に力を注ぐ。
16年春夏物はウインド(風)をテーマに、フリンジや麻、かぎ編みで軽やかさと動きのある服を企画した。2万円台前半のプルオーバーやパンツ、3万円台前半のワンピースなど。秋冬よりも色物や女性らしいデザインが増えたが、「軸さえぶらさなければ、あとはそのときの気分で、新鮮だと思ったものを取り入れていきたい」と話す。
松本は、「エモダ」(マークスタイラー)の元プロデューサーで、独立して自身のブランドであるクラネを立ち上げた。クラネデザインの社長も務める。