14年秋冬物からスタートしたメンズブランド「ミーンズワイル」。「道具としての服」を追求し、タウンユースはもちろん、アウトドアのフィールドでもファンが増えている。最近では国内だけでなく海外でも卸し先を広げている。
(大竹清臣)
ファッション業界に入り、MDサイクルや販売手法にふと疑問がわきました。ファッションが持つ「表層」「外見」「流行」などのイメージとは逆に、目的に対して実用的で機能性が高い服を作りたかった。そもそもデザインとはトレンドありきではなく、100%機能が付随するものだと思います。ミーンズワイルもアウトドアやスポーツ、ミリタリーなどの要素が強いです。
今のメンズマーケットでの世界的なストリートブームは、ファッションを突き詰めた結果だと思っています。ラグジュアリーとストリートブランドの意外性の高い協業は、行き着くところまで行った感があります。今後はファッションマニア向けと日用品に二極化するでしょう。服は衣食住の一つとして身近な存在ですが、その大切さを説明しないまま今に至ってしまいました。
海外販路の開拓は、15年春夏にニューヨークの合同展に出展。その後パリに移り今年6月、3回目の出展をしました。海外の卸し先はアジアを中心にロンドン、ミラノなど10社ほどです。SNSの発信が当たり前となり、若手ブランドでもフラットに世界と〝闘える〟環境が整ってきました。海外はまだ伸びる余地がありそうですが、まだ国内(30社弱)の地盤を固めきっていないので、もっと広げたいですね。それぞれの卸し先のフィルターを通して販売してもらった方が面白い。リアル店にしかできない〝料理〟の仕方で食材(ブランド)の良さを引き出してほしいですね。
縦型ロールのバックパックやアノラックなどベストセラー商品も出てきました。今秋冬は再度アウトドアにフォーカスしました。3層構造の「ベンタイル」をオリジナルで開発し、雨にもたき火の火の粉にも強いアウターなどを作りました。あくまで日常着として、ファッションとアウトドアの隙間を突く新たな提案にやりがいを感じています。