《めてみみ》枠の外へ

2018/05/22 05:30 更新


 不振が続く百貨店婦人でここ1年、売り場の圧縮が続いている。主力だった婦人服に代わり、化粧品や食品の拡大や集客拠点となる大型専門店などテナントの導入で、売り上げ減に歯止めをかける狙いだ。

 大丸松坂屋百貨店は中計で婦人服売り場の面積を3割圧縮する方向。同様の動きは都心店、地方店を問わず加速している。大丸東京店は昨春、6階に衣料品、雑貨のほか、植物、化粧品、書籍、カフェを併設した編集ゾーンを開設。高島屋新宿店は8階に美と健康をテーマにした編集売り場をオープンした。

 今春は東急百貨店吉祥寺店が婦人服を2層から1層に集約し、3階を食品と雑貨の編集ゾーン「武蔵野マルシェ」として全面刷新した。従来の百貨店にないカテゴリーミックスのMD、環境・サービスで、新規顧客の開拓に挑む。

 しかし、これまでの婦人服並みの効率を維持するのは難しい。MDだけでなく、要員配置の適正化など低コストの運営手法が欠かせない。人件費や地代家賃の引き下げなど経費削減による構造改革には限界がある。新たな成長戦略を見いだすことは重要な課題だ。

 百貨店再生への道は一つでない。それぞれの地域ニーズを取り入れたカテゴリーの編集、外部と連携した新たな業態開発など、従来の枠にとらわれない新しい生活スタイルを提案し続けることが必要だ。




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