《めてみみ》進む譲渡に何を思う

2025/07/10 06:24 更新NEW!


 ユニチカが繊維事業からの撤退を発表したのが昨年11月末。6月、事態が一気に動き始めた。岡崎事業所をセーレンに譲渡する基本合意を20日に発表。25日にはシキボウ、瑞光、カワボウとの事業譲渡に向けた基本合意、27日にはボーケン品質評価機構にユニチカガーメンテック全株式の譲渡を決めた。

 タイでスパンボンドを生産するタスコやユニチカトレーディング(UTC)が手掛けるポリエステルフィラメント事業、ユニチカメイト、大阪染工などの売却先は今も探している。

 シキボウとの共同会見でユニチカの藤井実社長は、「今回の合意でかなりの部分はカバーされる」と説明した。会見後社長に「少しは肩の荷が下りたのでは」と聞くと「とんでもない。まだ売却先が決まっていない事業があり、そこには従業員がいる」と語気を強めた。加えて、「どれもまだ基本合意しただけで細かな交渉はこれから。年内には事業譲渡を完了させ、同時に再生計画を着実に進める」と表情を引き締めた。

 その後、ある合同展でUTCのブースを取材した。ただ、出展していたのはまだ譲渡先が決まっていない事業分野。担当者は「数年かけて開発した新素材がやっと完成した。これから販売というタイミングなのにどうなることか。できればUTCに残り、開発、販売を続けたい」と語った。切なる願いだ。



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