《めてみみ》夏素材と言われても

2018/08/07 06:24 更新


 「今年は誰も見向きもしませんね」。売り場の定点観測で取材するメンズのセレクトショップのスタッフが口を揃える。7月のセールが終わり、8月に入ると、仕入れのブランド商品の秋物とオリジナルの盛夏物が店頭に入荷する。

 「見向きもされない」とスタッフが指摘する商品の一つが、7月から継続して店頭に置いているセール商品だ。最初のマークダウンで消化が進んだ商品も一部にあるが、値引き率を徐々に上げていってもいつまでも売り切れない商品も多い。

 「欲しいモノは買うが、要らないものは安くなっても買わない、という傾向がさらに強くなっている」という。ここ数年続く夏セールのパワー不足と実需買いの増加が理由だが、今夏はもう1種類、見向きもされない商品がある。

 例年、この時期のカットソーやシャツなど盛夏物プロパーの軽衣料には、秋っぽい色目を加えて、夏物に飽きた客に見た目で変化を付ける店が多いが、今年に限っては、客が全くと言っていいほどそうした商品に手を触れない。

 むしろ、それほど数が残っていない明るい色のTシャツやすでに品薄なショーツ、サンダルを探す客の方が多い。何十年ぶりの猛暑で、大半の客の気分はまだ夏にとどまっている。そんな時に秋色夏素材とか言われても「見た目に暑苦しいから要らない」ということのようだ。



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