《めてみみ》ジーンズの時代

2018/10/16 06:24 更新


 米国のジーンズブランドのデザイナーに取材した。今、ジーンズは高いブランドからファストファッションまで、どこでも作る時代だから競合が大変なのではと聞くと、こんな答えが返ってきた。

 「全くそんなことはない。ジーンズをデザインする立場の人間にとって今ほど面白い時代はない」。なぜかと言うと、「一昔前まではジーンズのブームは特定のシルエットだけが売れていたけれど、今は、ストレートもスキニーもブーツカットも、股上が浅いのも深いのも、同時に売れているから」。

 どの形や色に的を絞れば良いのか、分からないのは困らないのかとさらに聞くと、そのブランドは30型以上のモデルがあり、型数は毎シーズン増やしているという。「年齢や体形で求めるシルエットが違うから全てのニーズに常に応えようとしてきた」という。

 リジッドもウォッシュをかけたデニムも全てストレッチ性を付与したものを使っており、どんな形を選んでもはき心地が楽なので、そのブランドのジーンズは1本数万円の価格がするにもかかわらず、本国のほか世界中でよく売れているそうだ。

 ビッグトレンドがないから売れないとか、競合が激しいからシェアが低下したとかいう話をよく聞く。が、後追いやマネをするから売れないのであって、必要なのは自助努力なのだと改めて思った。



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