経団連が新たな副会長にディー・エヌ・エーの南場智子会長を起用するという。副会長は18人おり、女性が就くのは初めて。経団連は昨年公表した成長戦略で、企業の役員に占める女性比率を30年までに30%以上にすると掲げた。経団連会長はもちろん、副会長ですら男性のみだったことに驚く。
17年の経済協力開発機構調べでは、日本の主要上場企業の女性役員比率は5.3%。フランス43%、米国22%などと比べはるかに低い。それを上位国並みに引き上げるというのだから意欲的な目標だ。まずは足元からと南場氏の副会長起用を決めたのは必然と言える。
丸紅は24年までに新卒採用する総合職の半数近くを女性にすると打ち出した。ある経営者は自社ではまだ難しいという。20年ほど前、女性採用を増やしたが、現在は「ほぼ残っていない」からだ。「分野にもよるが日本企業はまだまだ男社会で取引先担当者も男性が中心。営業職でも女性社員が活躍できる土壌を整えてからでないと定着しない」という。
ファッション業界は他産業と比べても女性が活躍できる土壌はある。しかし経営陣に女性が少なければ、男性の意見が通りがちだ。不振が続くレディス市場。女性の、女性による、女性のための服が増えれば、市場が活性化するのでは、と期待するのはあまりにも短絡的過ぎるだろうか。