21~22年秋冬デザイナーコレクションで、サステイナブル(持続可能性)に対する考え方が一段と変化した。これまでハイファッション=ぜいたく品として、サステイナブルとは縁遠いブランドも多かった。しかし、環境が変わる中で東京のデザイナーも一歩、踏み込んでいる。
「ビューティフルピープル」は、上下逆さまにして2通りに着られるアイテムを見せた。ツーウェーの服はこれまでもあったが「1着の服を買えば、2着買わなくて済むもの」とデザイナーの熊切秀典は初めて、サステイナブルに言及した。「フミト・ガンリュウ」は、1サイズの服で男性モデルでも小さな女の子でも着られるコレクション。ジェンダーフリーでサイズフリーなコレクションは、サイズ展開が不要なので流通在庫にもなりにくい。
フミト・ガンリュウのショー会場で協業した「リトゥンアフターワーズ」のプレゼンテーションは、衣服の生成と分解の循環を描いた。現代社会は、過剰な生産の一方で、循環サイクルの分解を担う者が少ない。デザイナーの山縣良和は養蚕の歴史を振り返り、当時の生活様式の循環サイクルと発酵文化から新作へとつなげた。
デザイナーの仕事は新しい美を提起すること。それに加えて、未来へとつながるものを模索している。この変化をポジティブに受け止めたい。