サステイナブル(持続可能な)はファッションビズネスで欠かせない理念となった。ある合同展で、バナナの茎を繊維として利用したアパレル製品と出合った。ブースを出展したのは、三井物産アイ・ファッション、ソトー、吉田染工、貴志川工業、ループによる「バナナクロース」推進委員会だ。
バナナ繊維の資料は、用意していた2000枚が3日間の会期中に足りなくなるほど来場者の関心を集めた。バナナは食用として栽培した実を収穫し終えると、新芽だけ残して茎を伐採する。廃棄される大量の茎は、世界で年間10億トンに達するという。その廃棄材となった茎からは1本(約25キロ)当たり500~750グラムの繊維が採れる。
繊維を採る目的で新たに畑を耕して水や農薬などエネルギーを使って育てる必要がない。捨てられるだけだったものから天然繊維を採り出して生地を作るだけに、環境に優しい持続可能な繊維といえる。原料となるバナナの茎はフィリピンの農場から調達し、国内で紡績、テキスタイル、縫製を一貫する。
推進委員会は国内の繊維メーカー、縫製工場などが協業する。一企業が利益を独占するのではなく、良さを共有できる作り手、売り手、使い手のオープンな仕組みで〝第5の天然繊維〟として普及させる。バナナ繊維を通じて循環型社会に貢献していく考えだ。