《めてみみ》互いに成長する

2021/04/01 06:24 更新


 「教育とは、教え、育てるのではない。(生徒から)教わり、(こちらも)育つ、双方向のやり取り」。大学の教育関連の講義での教授の言葉だ。「上から目線だと相手から学ぼうという感度が鈍る。こちらが成長する機会を失ってしまうよ」。

 きょう新入社員として入社された方も多いだろう。コロナ下での就職活動はこれまでとは大きく異なり、困難の連続だったはず。採用人数も減り、苦労されたと思う。しかし、そこで発揮された困難にも柔軟に対応する力は今後、きっと役に立つ。

 繊維・ファッション業界はコロナ禍で苦しんでいる。だからこそ、これまでの常識や慣習にとらわれず、新しいことに挑戦する機運が高まっている。皆さんの力が必要だ。当然最初は視野が狭く、経験もない。だから的外れなことを言ったり、したりで失敗も多いだろう。

 「若い時の苦労は買ってでもしろ」と大先輩に言われ、心の中で「できれば苦労はしたくない」と思ったが、今はその通りだと断言できる。様々な失敗や苦労から何かを学び、一つひとつその先の成功につなげられるかが大切だ。打たれ強さも備わる。

 若い人財はその企業、社会の希望だ。希望の芽が大きく、たくさん育つかが企業、この業界、この国の将来を左右する。教え育てると同時に、こちらも成長できることをうれしく思う。



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