久しぶりにブラックフォーマルに袖を通す機会があった。昨今は小規模の葬儀が増え、通夜や葬儀への参列がめっきり減った。コロナ禍を経てその傾向は加速した。
家族や親族、友人・知人、近所、職場関係など広く参列する一般葬から、家族や近い親族、特に親しかった友人・知人などに限る家族葬へと葬儀の形式が変化している。さらに、通夜をしない一日葬、通夜も告別式もしない直葬・火葬式と、小規模・短縮化がトレンドだ。
一方でソフト面は多様化している。故人をイメージしたデザインの花祭壇を目にすることが増えた。故人が好きだった音楽が流れることもある。事前撮影するエンディングフォトやエンディングドレスも認知が広がり、準備する人が増えているという。
ただ、下着まで意識する人は少ないようだ。下着OEM(相手先ブランドによる生産)のETOEの渡邊絵美社長は子供の頃、祖父が死装束の下にオムツをはいていた姿を見て衝撃を受けたという。今でもオムツが一般的と知り、故人のための下着「ラストランジェリー」の開発に着手した。きれいでかつ着せやすいよう工夫を重ね、年明けから本格的な販売に入る。
最期はきれいな姿で見送られたいと思う人は多いだろう。これから迎える多死社会に対し、ファッション企業がサポートできることがありそうだ。