《めてみみ》前に進む

2023/05/11 06:24 更新


 「リサイクルは本当に必要か。消費者への押し付けになってはいないか」。最近の取材で心に引っかかっている言葉だ。

 「商売は顧客のニーズを超えることで成り立つ。良い物をできるだけ安く、必要な時に、必要な分だけなど。しかしリサイクル素材はまだそのレベルではない。品質、色、風合いなど課題が多く、安くもできない。原料調達の制限を何とか乗り越えないと広がらない」と、ある繊維メーカーの社長。だからと言って開発を諦めるのではなく、「様々な企業が手を取り合って新しい価値を作り出すことが必要」と循環型の仕組み作りに尽力する。

 スタイレム瀧定大阪は、生地を3D・CG化した販売での活用に加え、製品事業でもサンプルレスに取り組む。製品での試みはまだ一部で3Dモデリストの人材不足など課題はあるが、「3D・CGを使ったデザインに慣れれば、便利でロスが少ないので以前のアナログには戻れない」と手応えを感じている。

 パルグループのナイスクラップは、全商品のサンプルを3D・CGで作成し、ECもCG画像で運用する2ブランドを立ち上げた。徐々にだが、ビジネスモデルや仕事の手法が変わってきた。ブレイクスルーまであと一歩だ。「売れる」からといってまた在庫を大幅に増やすなど、過去の方法に戻るだけでは前には進まない。



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