連合国による降伏勧告であるポツダム宣言を受け入れたことを昭和天皇が肉声の放送で国民に伝えたのが8月15日。第2次世界大戦の敗戦を認めた日であり、日本では終戦記念日だ。ただ、この日を何と呼ぶかは、国によって違う。
イギリスでは対日戦勝記念日だし、韓国では光復節と言って植民地支配から解放された独立記念日として祝日にもなっている。時期はずれるが、中国では戦勝記念日、ロシアはこの大戦終結の日を9月3日に定めている。
自社で売るアパレルの多くを海外生産で調達している小売業の社長がある時、長年パートナーを組んできた東南アジアの工場オーナーに第2次世界大戦について聞いた。「日本が東南アジアを占領したことを全員が覚えている、今でも恨みを持っている」と答えたという。
戦争で被害を被ったか、被害を与えたか、どちらか側なのか、国が違えば認識も異なってくる。戦争になればどの国の国民も被害者にも加害者にもなり得る。ロシアとウクライナの例を出すまでもない。
取引先から戦争の記憶について聞いた社長は「絶対に戦争しないという立場を守ることが大事」と話した。備えることも必要かもしれないが、何よりもまず徹底的に戦争は避ける。平和でなければ商売は成り立たない。政治家より服屋のほうが身に染みてわかっている。