今年の上海は、いくぶん秋の訪れが早い。8月下旬から暑さが和らぎ、朝夕は涼しい日も増えた。想定より夏が短く終わりそうな気配である。
一方、中国経済・消費は変わらず良くない。アパレル関連では8月に入り多少受注が上向いていると一部の企業から聞くが、22年下期から新作の投入数量を2割ほど減らすという傾向は今も続いている。
コロナ禍の22年より景気が良くないのは不思議な感覚にとらわれるが、どうやら大小様々な企業がいつか来るであろうコロナ禍明けのリベンジ消費を見越し、多めに商品を生産していたのが裏目に出ていることらしい。いざ行動規制解除のふたが開いてみると、不動産バブルは崩壊し、人々の消費欲も減退し、今は耐え時になっているというわけだ。
明るさがないわけではない。夏前半の6~7月が酷暑だったため、春夏の在庫が想定より消化された模様。秋も早めに気温が低下すれば、受発注の回復が早まるかもしれない。
先日、上海で行われたインターテキスタイル、スピンエキスポの両展では、中小企業の出展が戻り、小さなブースにバイヤーが多く集まる光景も見られ、久しぶりに展示会に楽しさを感じた。多くの中小・新興アパレル企業が、これから巨大な中国市場に参入することが増えれば、産業の活性化ひいては消費刺激につながりそうだ。