《めてみみ》ローマのピラミッドを修復した日本人

2025/03/27 06:24 更新


 埼玉県八潮市での大規模な道路陥没事故が起きてから2カ月が経とうとしている。老朽化したインフラがもたらす影響と怖さを改めて思い知った。

 千年以上続いた古代ローマ帝国がなぜ崩壊したのか。経済の衰退や異民族の侵入など200以上の説があるそうだ。その一つがインフラの劣化。繁栄を支えた道路や水道などが時間とともに損傷し、補修する余力がなくなったという説が、あるテレビ番組で紹介されていた。今、日本が直面する課題と重なって見える。

 番組ではローマに現存するピラミッドが紹介された。ローマ帝国の領土が北アフリカにまで広がった後、ローマでエジプトブームが起こり建設が相次いだ。現存するのはサン・パウロ広場にあるガイウス・ケスティウスのピラミッドのみ。

 排気ガスなどで汚れていた姿を嘆き、修復支援を申し出た日本人がいる。繊維専門商社、八木通商の八木雄三社長だ。12年から数年かけて修復され、大理石が白く輝く美しい姿を取り戻した。

 同社がミラノオフィスを開いたのが71年。「五十数年間、イタリアとのビジネスが継続できている。欧州で当社が存在感を発揮できているのはこうした背景があるから」と八木社長。「一流の企業は文化的な役割も果たさないと。もうけるだけでは駄目だよね」。来年はフランスでも文化的な大イベントがあるという。



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