《めてみみ》新人の発掘・育成が不可欠

2025/04/14 06:24 更新


 デビューしたばかりの若手デザイナーブランドを取材した際、「卸先はまだない」という話をよく聞く。それ以前の問題として「有力店のバイヤーに展示会の案内を送ってもほとんど来てくれない」のが現状だ。業界関係者とのコネクションや有名ブランドでの勤務実績、はたまた受賞経験。何かが無ければ評価してもらう機会すらない。

 こうした卸先のない新進ブランドは、展示会で友人知人、業界関係者から個人発注してもらうので精いっぱいだ。最近では、初めから卸先の開拓よりも消費者とダイレクトにつながる受注会を定期的に開催したり、自社ECで販売したりと、SNSを活用し地道なファン作りに徹するブランドも増えている。

 ただ、量産には一定のミニマムロットが必要だ。多くのデザインを作り、より多くの人に着てもらいたいと思った場合、個人販売でできることに限界があるのも確か。卸先やバイヤーなど様々な人に見てもらい、多くの意見に触れることでデザイナーとして成長する部分もあるだろう。

 先行きは不透明で景気は決して良いとは言えず、卸やバイヤーなど小売り側に新規ブランドを探す余裕が無いのもわかる。だが、有名デザイナーも最初は無名の新人だったはず。デザイナーを発掘し育成する意識を持つことは、業界の発展にとって不可欠ではないだろうか。



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