暑すぎる夏と秋、それほど寒くない初冬。今年の下半期もそんな気候が予想されている。昨年の秋冬は肉厚のセーターや量感のあるダウンジャケットから遠ざかってしまった。おしゃれ好きが本領発揮するのは、服を重ねて仕上げる冬のスタイリング。それがあまり見られなくなったのは少々寂しい。
昨年冬のインナーは、ほとんど半袖Tシャツで事足りた。その上にセーターを重ね、軽いアウターを羽織っていた。あったかインナーが必要になったのは1月に入ってから。3月は少しずつ春の装いを取り入れるようになったので、完全防寒の時期はほぼ2カ月間だった。
そんな気候を考慮して、25~26年秋冬は長く着られるアイテムを充実するブランドが増えている。立ち上がりは透け感のあるブラウス。軽いハイゲージセーターも需要が高い。「求められるのは、10カ月間着られる便利アイテム」という。
秋のアウターは「シャツ以上ジャケット以下」。アウターは必要だけれど、分厚いものは時期が限られる。重ね着次第で、いかようにも着られる服が重宝するというわけだ。
繊研新聞社が毎シーズン実施するアンケートでは、24~25年秋冬は「実需は11月、アウターは12月から動いた」。そこまでの秋冬物をどう準備するのか。今秋冬商戦の決め手は、そのあたりにありそうだ。