商業施設のセールが始まる。すでに真夏日が続く地域もあるが、長い夏はこれからが本番。夏服や猛暑対策商品への需要が今以上に高まるのは間違いない。盛夏MDおよび正価販売強化の経営方針もあり、開始日を7月中下旬にずらすブランド、ショップは増えている。結果、館としてのセールの集客力は分散するだろう。
アウトレット、オフプライスなど、常時値下げ販売する業態や店舗があるなか、セールの付加価値とは何だろうか。付加価値の言葉の意味を調べると「製品やサービスに独自の機能や特徴を付与すること」とあった。作り手、売り手側が作るものと理解できるが、違う見方もあるようだ。
価値には、既存価値、付加価値、不要価値の三つある。そう書いてあったのは『このオムライスに、付加価値をつけてください』(柿内尚文著)。その価値の捉え方が面白い。既存価値とは、すでに存在している価値で想定内のもの。対して付加価値は「想定外の価値」となる。想定外とは喜びや感動を生むものだそうだ。いずれにせよ、決めるのは「価値を受け取る側」だ。
セールのにぎわいは年々薄れ、心待ちしている人は減少している。在庫処分、値下げ販売がすでに想定内の価値になっているなら、セール期といえども値下げ以外の想定外の価値提供が求められるのではないだろうか。