日本百貨店協会は「外国人旅行者向け消費税免税制度に関する共同提言書」をまとめた。全国免税店協会、日本観光振興協会、日本小売業協会など10団体・組織が共同で「30年に外国人旅行客6000万人、インバウンド消費15兆円を達成するためには訪日客向けの消費税免税制度を堅持すべき」と提言した。
消費税免税を巡っては自民党内に廃止論があるほか、国民民主党も参院選公約で制度見直しを掲げた。転売などの不正対策や財源確保が目的だ。違法対策としては26年11月にリファンド方式(税込み販売型)の導入が決まっており、不正利用の大幅な減少が見込まれる。
提言書は堅持を求めた理由について、訪日目的の第2位がショッピングであり、インバウンド消費(8兆1000億円)の約3割が買い物である点を論拠にした。消費税免税の売り上げは約2兆円と試算され、買い物消費の8割を占める。免税売り上げ世界1位である日本が免税制度を廃止すれば、訪日客数の減少や買い物消費の他国流出につながる恐れを指摘した。
英国は免税制度廃止で、一部観光客の他国への流出を引き起こした。財源確保の観点から見れば、免税制度の廃止による日本のGDP(国内総生産)への悪影響も懸念される。観光立国政策を軸とした経済成長のためにどうしたらいいのか。免税制度の在り方が問われている。