「シャワー効果がなくなっている」と地方百貨店の幹部が強調していた。シャワー効果とは、上層階に集客力のある店舗や催事を置き、顧客を上から下へと誘導、施設全体の売り上げ向上を狙うという戦略の一つ。ただ、物産展などの催事で広域からの集客を実現しても、中・下層階の常設売り場との買い回りはほとんどないという。「だから、催事単体で収支を考えることが重要」と続けた。相乗効果が期待できないからだ。
同様の話をよく聞くようになった。アニメ・キャラクター関連催事に力を入れている別の百貨店は、効果があるのは飲食ぐらいと話す。新規獲得を狙い大型雑貨専門店を導入した百貨店は、百貨店部分との買い回りが一向に高まらないことを嘆いていた。
買い回りの少なさは、百貨店の長年の課題だ。特に食料品と衣料品や化粧品などとの買い回りは、既存顧客であっても少ないと聞く。「客層が違う」とあきらめ顔で話していた経営幹部を思い出した。
物価高が続くなか、節約志向やメリハリ消費は続くだろう。セールでも単品買いが増えているようで、衝動買いや、ついで買いを促すのが難しくなっている。高単価中心の百貨店ではなおさらだ。対策は、催事告知と連動して関連するお薦め商品を事前に紹介し、目当ての商品を増やすことぐらいだろうか。皆が頭を悩ませている。
