少し早いが今年を振り返ると、自分にとって印象深かったキーワードは〝ユーザーリテラシー〟だった。
ここでのユーザーとは消費者ではなく企業。自分の取材分野のなかでRFID(ICタグなど非接触の自動認識技術)、ウェアラブル、リカバリーウェアはいずれも共通して、ユーザー企業のリテラシーの低さを指摘する声を耳にすることが多かった。もちろん供給側がユーザーに基本的な情報と、メリット、注意点の説明を重ねていることが前提の話だ。
あるメーカーの社長は、「毎年同じ国内展示会で、同じ人たちに、同じ説明をしている」と漏らす。特にRFIDとウェアラブルは、アパレル関連企業が「実証実験の域をなかなか出ない」という話は少なくとも10年くらい前から聞いていたし、その傾向が強い印象だ。その社長は「やる、やらないの問題じゃなくて、なかなか判断できないことが問題」と指摘する。
一方で、「欧米やアジア企業はしっかり勉強して、毎年知識がアップデートされている。だから発展性のある対話ができるし、意思決定が速い」という。日本企業だから、海外企業だからと一様には言えないが、この差は気に留めておいた方がよいだろう。
(嗣)
