経済産業省は、海外を含めた事業拡大を目指すファッション関連企業やクリエイターを支援する「グローバルファッションIP(知的財産)創出プログラム」の最終成果発表会を京都市内で開いた。採択事業者10組がそれぞれプレゼンテーションし、繊維・アパレル業界関係者や学校関係者ら約70人が参加した。
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日本の固有性を磨く
同プログラムは経産省の24年度補正予算「クリエイター・エンタメスタートアップ創出事業費」を活用し、25年6月に開始した補助事業。成果発表に先立ち、経産省文化創造産業課の木村綾氏があいさつし「私たちが目指したのは日本各地の繊維産地や地域資源などの日本ならではの魅力を磨き上げ、世界に通用する新たな価値を創造すること」と述べた。同プログラムの事務局を務めたインフォバーン(東京)の辻村和正事務局長は、「日本ならではの固有性は地域に根差した文化や伝統産業、それを支える技術」と指摘。「それらの貴重なアセット(資産)をクリエイターたちの解釈で価値を再構築すればグローバル市場で通用するファッションIPを創出できるのではないかと考えた」と主旨を説明した。
文化資源を有効活用
ペーパーパレードは、屋外広告(OOH)素材の多くが廃棄されていることに着目し、「OOH再生プロジェクト」を立ち上げた。再利用の障壁というOOH上の意匠権などの権利を独自の地紋で隠蔽(いんぺい)して再利用する方法を提案している。この隠蔽方法について、刺繍やプリントなど独自技術を持つ企業との協業の可能性を探った。
吉勝制作所は植物をはじめとする様々な天然の副産物を活用して顔料を開発している。補助事業では、素材の粒度を調整し、産業機械に最適化する知見・技術を生かし、生地用プリンターやシルクスクリーン印刷などの既存設備で使える顔料や補助剤となるメディウムを開発した。藍、アカネ、ススキ、クズ、クルミから5色の顔料の試作、ファッションブランドとの協業も始まったという。
ファッションブランド「ハトラ」はアーティストの古舘健氏と協業し、「もっと自由に、見たことのない布を作りたい」として、新レーベル「ハトラフェノタイプ」を立ち上げる。コンピュータプログラムをジャカード織機に読み込ませ、3DCG(コンピュータグラフィックス)のような織物を試作した。
講評を務めた京都工芸繊維大学の水野大二郎教授は、「経産省は今、映画やアニメといったコンテンツ産業に大きく踏み込んでいる。これをファッションでやる場合、グローバルに通用する資産は川久保玲や三宅一生、山本耀司のようなレガシー化したデザイナーだけではないのではないか」と指摘。「地域に根差した民芸や工芸など様々な文化資源がある。もっと効果的に、戦略的に活用していくことが大切なポイントかもしれない」と語った。
同発表会は1月31日に東京・品川でも開催する予定だ。参加費は無料。
