栗山縫製グループのMFC 「福祉×繊維」で価値創出 売り上げは完全折半

2025/12/10 11:30 更新NEW!


京都の仁和寺で開催した「寺ケア2025おもいやり&フェムテックイン京都」では、ガーゼハンカチのワークショップも開いた

 栗山縫製(東大阪市)グループのMFCは、「福祉×繊維」に取り組んでいる。縫製で培ってきた知識や技術を生かし、福祉や廃材、食の各分野との掛け合わせによる新たな価値創出に力を入れている。福祉×繊維のジャンルは「アーチェ」と名付けて、24年から商品の販売や期間限定店の出店など本格的に活動を始めたばかり。11月7~9日には、京都の仁和寺で開催した「寺ケア2025おもいやり&フェムテックイン京都」にブース出店し、認知拡大を進めた。

(藤本祥子)

 大阪にある四条畷福祉会内のチーム「インフィニティファブリックス」と主に協業し、商品製作や販売をしている。「さをり織り」をチャームやネームタグに取り入れたTシャツや、不用になった医療用ガーゼを手染めしたストールなどが揃う。染料は、福祉支援施設で栽培した藍などを使っている。Tシャツには、栗山縫製の取引先から使用許可を得た残布を使っていたりする。縫製は栗山縫製が担っている。価格は、長袖のボーダーTシャツが税込み2000円、ストールは2色が1700円、3色が1980円。

「さをり織り」のチャームを胸ポケットにあしらったTシャツ
医療用ガーゼを使ったストールは手染めで柔らかい色合いに仕上げている

 これまでに近鉄百貨店上本町店での期間限定店や、無印良品の「つながる市」、地域のマルシェなどへ出店したことがある。自社ECでも販売している。

 福祉×繊維は、MFCでMDプランナーをしている吉田芽生さんが発案した。吉田さんは保育士と幼稚園教諭の資格を持っており、栗山縫製に入社する前は乳児院や保育園に務めていた。障害者支援施設で実習したこともあったため、「私が持っているもので、生かせるのは福祉だった」と振り返る。

 売り上げは、必要経費を差し引いた残りを完全折半にするのが特徴だ。「お涙ちょうだいのようなことがしたいわけではない。素敵だと思って手に取ったものが、たまたま福祉施設が携わっていたというのを目指している」と吉田さん。他の福祉会からの問い合わせが増えており、少しずつ協業につながっている状況だという。

 今後は、「47都道府県の福祉施設と協業し、福祉を変えるきっかけを作りたい」との考えだ。



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